彼との付き合いは長い!んです。
sisiの創業とほぼ同じぐらいでしょうか。

この人懐っこい笑顔と長身、のほほ〜んとした雰囲気。何度かsisiや関連のお店やカフェなどで見かけた事がある人も多いのでは?

『I Nyoman Kawiana(イ・ニョマン・カウィアナ)』、通称「カウィ」もsisiにとっては 「無くてはならない」存在です。

初めて会った約15年程前、今と身長はほぼ変わらないと思いますが髪がボサボサで長く、ヒョロリとしていました。
当時わたしが暮らしていたのはウブドの北のPayangan(パヤンガン)というところ。 
ちょうど姫路で4年間「研修生」として働き帰って来たばかりのカウィ君は当時は23-4歳ぐらいだった筈。

バリに戻って来て日本語を利用して日本人向けのフリーのドライバーでもして暮らして行こう、と思っていたものの、下手に「日本人」を知ってしまったゆえに「道で知らない人に声をかけられて怪しまれ訝しい目で日本人から見られる」事が出来なかった!!

「どうしよう、せっかく日本語も出来るし車もあるのに」と思っていた所、当時日本人がほとんど暮らしていなかったパヤンガンに何人か日本人がかたまって暮らしてるそうな、という情報を聞きつけて(当時日本人女子3人で暮らしていました)アドバイス(?)をもらいにやって来ました。

「一体どうしたら良いでしょうか」と突然現れて聞く彼に私たちは「えー、そうなのー?しっかりがんばらないと!取りあえずそのボサボサ頭をどうにかした方が良いねー」なんて軽く言ったら次の日に「髪を切って来ました」と短くサッパリとした髪型になってやって来たのが忘れられません。

「気が小さいだけで真面目で本当にどうにかしたいんだ」と感じた私たちは友人やお客さまが日本からいらっしゃった際は彼に案内などを頼むようになりました。

一生懸命がんばっていたので人から人に紹介を受けそれなりに忙しくしていたようなのですが、数年後また神妙な顔でやって来て「勤めたいんです、どこか旅行代理店などにでも」と。

当時わたしはHISさんがバリ島で作っているフリーペーパーに連載を持っていたので すぐにHISさんと繋ぎ、「ああいう気がちょっと弱そうで真面目な田舎の子が一番良い」とすぐに採用されました。

4年程HISで仕事をしていた時、彼は交通事故をおこします。HISの幾つかある支店をまわって仕事していたのですが、遠い勤務地から帰宅するには1時間半程のバイクの道のり。その途中に居眠りをして街路樹に激突
後で知人の日本人のお医者さんがタイミングよく来ていたので聞いた所「これ、生きてたの本当にラッキーやったで」と言われる程に。

ちょうどsisiを現地法人化したい時期でもあったので 話をしてみたところ「はい、sisiで仕事をします」と言ってくれました。HISさん本当にお世話になりました!


写真は2005年当時 HISで働くカウィ

あれからカウィはsisiの経営陣のひとりとして、そして私の愚痴を聞く係であったり、他のスタッフへの見せしめ(?)として怒られる係になったり、もちろん大切な友人としてここに居てくれています。

こうして暮らしてお店をしていると「バリで会社をするのはどうですか?大事な事はなんですか?気をつけるべき所は?」とよく聞かれます。

そういう時は「旅行で来ている時と暮らすのは違う。もちろん「好き」から始まるのだけれども、「何か」をしてそれでこの土地で食べて暮らして行くと言うのは大きく異なる。それが出来るかどうか、自分とここが相性があるかどうかを知る為にはとにかく何かを始めたら良いと思う。でも「会社」となると外国人だけではどうにも出来ない事(会社のジャンル、業態、形態によっては経営陣は全て外国人で大丈夫な場合があるのかもしれません。)なので、「本当に信用出来る人」を見つける事が一番大事です」とお話しします。

そんなに「本当に信用出来る人」なんてすぐに見つかるんでしょうか?どういう風に見極めれば良いですか?と更に聞かれます。

「それらも含めて、そういう人が見つかった時が「始めても良い時」なのだと思います。逆に言えば「この人に騙されたのならもうしょうがない」と思える人が出て来たらその人に決めたら良いのでは?」と。

私にとってカウィはそんな人のひとりです。彼が何か本来の約束と異なる事をしたのなら、「そうなるまで気づいてあげれなかった、持って行ってしまった私が悪い」と。そこまで思い詰めてするほど何か大変な事が彼の身の上に起こってるんではないのだろうか?と考えられるように思います。

友人であり、おっちょこちょいの弟であり、バリの「おばあちゃんの知恵」の様な事をいろいろ教えてくれる先生であり、もちろんsisiを続ける上で大事な仕事をしているチームの一員です。 

研修前からつき合っていた彼女と約束を守り、帰って来てからも更に生活の安定を目指してお金を貯め、HISに勤めやっと結婚。あのヒョロリとした20代の男子は今は40前の2人の子持ちのお父さんです。「そりゃお互い歳も取るわ!」と笑い合って、背中を叩き合ってこれからもsisiと一緒に歩いて行くのだと思います。

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