■万里子のオススメ漫画
ごきげんよう。またまた万里子のオススメ漫画でございます。今回の御紹介は「百鬼夜行抄/今市子/朝日ソノラマ」でございます。失礼ながらあまりメジャーな方ではいらっしゃいませんが、実力派。最近メキメキと頭角を表していらっしゃって、他の作品も楽しみにしている次第でございます。掲載紙もこれまた隔月刊の「ネムキ」というメジャーではない雑誌なのですが、この雑誌が侮れない。この雑誌の中に御紹介させて頂きたい漫画家の方はまだまだいらっしゃいます。
この「百鬼夜行抄」という作品はいわゆる怪モノですが、作者の方のシビアな視点で現実の中から怪しい出来事を描いている様は、「ゲゲゲの鬼太郎」とは一線を画しますね。ゲゲゲの鬼太郎はこれで大好きなんですけども。妖怪というのは楽しいですね。「パタリロ」を描かれてる魔夜峰夫氏もよく題材にされていたことがございます。「百鬼夜行抄」の中の妖怪たちもまた見事に命を持っている(生きてんのか?)。怪しい妖怪、楽しい妖怪、事件の数々、妙にリアリティがあるのは主人公の律という男の子のある意味醒めた視点と、彼が怖いものを怖いと思うごく普通の感覚を持っているということでございましょうか。超人でも退治するのが仕事でもない。そのスタンスを持つ彼が主人公であるからこそ事件の奇妙さが増し、さらにそんな彼が使い魔のカラス天狗をもっているというアンバランスさが非常に面白いのでございます。
普通の彼がイヤイヤ事件に巻き込まれてしまう。それがまたホントにイヤそうで...。また、キャラクターがほんとに活きておりまして、設定も楽しい。律のお父さまは本当はとっくに死んでいて、中身は青嵐という妖怪なんですが、彼の行動パターンやカラス天狗との絡みのやりとりも思わず吹き出してしまいます。妖怪って使えねーとか思えたり。そう、怪モノだけど笑えたり、でも、怖い場面は怖いんですよ。思わず背筋がひゃ〜となったり。しかもハッピーエンドばかりではありませんし、それがますますリアリティを持たせているのでございます。恐怖と笑いは裏表だと昔、楳図かずお先生もおっしゃっていましたが、それを描きこなすというのは並大抵ではないと私は思いますわ。
怪といえば、私も幽霊のおっさんに乗られて金縛りにあったこともございますね。友人が家に幽霊置いていったり....。あれは2度と嫌ですね。肩が痛いんですよ、肩が。おおやだ。それでは皆様も取り憑かれないように御気をつけあそばせ。そういう話じゃないってか。それでは皆様ごきげんよう。
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